Enabling Knowledge Creation

ナレッジ・イネーブリング:知識創造企業への5つの実践

日本語版への序文

1. ナレッジ・マネジメントからナレッジ・イネーブリングヘ
   (知識主体の経済下では、学習こそが新しい世界通貨となるであろう。--ロバート・ライシュ)

 1.1 組織における知識--基本定義
 1.2 ナレッジ・イネーブリングと知識創造とのリンク
 1.3 新しいナレッジ・プレーヤー--アクティビスト、ケアのエキスパート、認識論者
 1.4 知識のミクロ・コミュニティ
 1.5 本書の構成

2. ナレッジ・マネジメントの限界: なぜいまだにこれほど多くの障害が存在するのか
  (人々を革新的にさせ、動機づけるためには、彼らの人間的欲求を考慮しなければならない。自らをいつも防御しなければならない場合とは対照的に、気分がいいし、正しく評価されていると感じれば、何事につけても人間はずっとオープンでいられる。--アンドレアス・リース フォナックCEO)

 2.1 知識創造に対する個人の障害
 2.2 知識創造に対する組織の障害--企業パラダイムにかかわる問題
 2.3 ナレッジ・マネジメントの何が間違っているのだろうか
    2.3.1 落とし穴1: ナレッジ・マネジメントは、入手、測定が容易な情報に依存している
    2.3.2 落とし穴2: ナレッジ・マネジメントはツール作りに没頭してしまう
    2.3.3 落とし穴3: ナレッジ・マネジメントの成否はナレッジ・オフィサーにかかっている
 2.4 落とし穴を回避するナレッジ・イネーブリング--3つの前提
    2.4.1 前提1: 知識とは正当化された真なる信念であり、個人的な側面と社会的な側面、暗黙的な側面と形式的な側面をもっている
    2.4.2 前提2: 知識は個人のものの見方によって左右される
    2.4.3前提3: 知識創造は技(クラフト)であって、科学ではない
 2.5 フォナック--知識の境界を取り壊す
    2.5.1 従業員の価値を評価する--個人および組織の障害を取り除く
    2.5.2 階層のない社会
    2.5.3 個人の主張の尊重
    2.5.4 全体の巻き込み
    2.5.5 境界を壊すアーキテクチャー
    2.5.6 スケールアップ--マクロ・コミュニティの創造
    2.5.7 混沌と秩序のバランス (基礎研究、コンセプト創造、製品開発、製造)
 2.6 フォナックの教訓--オープンエンドなコントロール

3. 組織におけるケア: なぜイネーブリング・コンテクストは重要なのか
  (人をケアするということで最も重要なのは、その人が成長し、自己実現するのを手助けするということである。--ミルトン・マイヤーオフ)

 3.1 ケアの必要性--西洋哲学から「場」へ
 3.2 ケアの特徴
    3.2.1 相互信頼
    3.2.2 積極的な共感
    3.2.3 進んで助け合うこと
    3.2.4 寛大な判断
    3.2.5 勇気
 3.3 知識創造とケア--2つのコンテクスト
    3.3.1 低いケア--最悪な過当競争
    3.3.2 高いケア--内在化とイネーブリング・コンテクスト
 3.4 職場での内在化--実践的なガイド
    3.4.1 ナレッジ・ビジョンを再認識する
    3.4.2 暗黙知の源泉を発見する
    3.4.3 暗黙知がナレッジ・ビジョンにもたらしうるインパクトを洗い出し、暗黙知の源泉に接近できるかどうかを測る
    3.4.4 暗黙知の源泉になる人々とケアしあう関係を築く
    3.4.5 ケアに基づきながら、相手と共通の経験を積んでいく
    3.4.6 ステップ4や5(上記3.4.4と3.4.5)を何度も繰り返してみる
    3.4.7 内在化の成果を評価する
 3.5 ケアとナレッジ・イネーブリング--よい基盤の作り方
    3.5.1 信頼を築く
    3.5.2 積極的な共感の増加
    3.5.3 支援行為の育成
    3.5.4 寛大さ、勇気、メンターシップ
 3.6 経営的視点に基づくケアの擁護--資生堂を超えて

4. 戦略と知識創造: 現在のサバイバル戦略と未来への前進戦略
  (人々にエネルギーを与えるためには、職場を開拓しなければならない。管理してはいけない。マネジメントという言葉は、支配をほのめかす。未来は指揮統制からは生まれない--リーフ・エドヴィンソン スカンディア、バイス・プレジデント)

 4.1 戦略のフレームワーク
    4.1.1 サバイバル戦略と前進戦略
    4.1.2 競争優位
    4.1.3 競争優位の源泉
    4.1.4 知識の戦略的役割
    4.1.5 知識のプロセス
 4.2 サバイバル戦略と前進戦略のバランス
    4.2.1 サバイバル戦略
    4.2.2 前進戦略
 4.3 前進戦略と知識創造
    4.3.1 ステップ1: 暗黙知の共有(直接的観察、直接的観察と物語、模倣、実験と比較、共同作業)
    4.3.2 ステップ2: コンセプトの創造
    4.3.3 ステップ3: コンセプトの正当化
    4.3.4 ステップ4: プロトタイプの製作
    4.3.5 ステップ5: 知識の組織全体での共有
 4.4 スカンディアの未来センター--知識のビジュアル化と開拓
 4.5 イネーブリング・プロセスのマネジメント

5. 第一のイネーブラー: ナレッジ・ビジョンの浸透
  (蓄積されている知識の総量を測る尺度がないのならば、数学的手法より詩的な手法で知識の総量を数量化せざるをえない。--ケネス・ボールディング)

 5.1 ナレッジ・ビジョンとは何か
    5.1.1 ナレッジ・ビジョンは組織メンバーが現在、活動している世界に関するメンタル・マップを示すものでなければならない
    5.1.2 ナレッジ・ビジョンは組織メンバーが本来活動すべき世界のメンタルマップを示すものでなければならない
    5.1.3 ナレッジ・ビジョンとは、組織メンバーが探求し創造する必要のある知識が何かを具体的に示さなければならない
 5.2 優れたナレッジ・ビジョンの基準
    5.2.1 企業の進む方向へのコミットメント
    5.2.2 創造性
    5.2.3 独自のスタイル
    5.2.4 既存の知識創造システムの再構築への焦点
    5.2.5 現行の業務システムの再構築への焦点
    5.2.6 企業価値の外部伝達
    5.2.7 競争優位確立へのコミットメント
 5.3 アユーラ・ストーリー--新規ビジネスへの挑戦は新しいアイデアを必要とする
    5.3.1 キャビネットの形成
    5.3.2 つまづきと新コンセプトの探求
    5.3.3 モダンからポスト・モダンへ
    5.3.4 資生堂が手にした究極の成功
 5.4 マネジメント・アプローチ--360度プロセス
 5.5 「360度方式のビジョン浸透」のための5つのマネジメント・アクション
    5.5.1 マネジメント・アクション1: 参加者を確認して集め、プロセスを体系的に組み立てる
    5.5.2 マネジメント・アクション2: ナレッジ・ビジョンの定義と、優れたナレッジ・ビジョンの判断基準に関して、参加者間で共通理解をもつ
    5.5.3 マネジメント・アクション3: ビジョン・プロセスのプラットフォームとして、本来に関するストーリーを書き上げ、それを活用すること
    5.5.4 マネジメント・アクション4: ビジョンの浸透には十分な時間を費やすこと
    5.5.5 マネジメント・アクション5: ナレッジ・ビジョンのプロセスを学習のプロセスと考える
 5.6 ナレッジ・ビジョン浸透プロセスに待ち受ける落とし穴
 5.7 予想しない事態を予測する

6. 第二のイネーブラー: 会話のマネジメント
   (金を支払うものとしか、会話をしないのではない。富めるものであれ、貧しきものであれ、誰もが私に尋ね、答え、そして私の語る言葉に耳を傾けてもかまわないのである。--ソクラテス プラトン『弁明』より)

 6.1 会話の目的--知識の確認から知識の創造へ
 6.2 優れた会話のための4つの指針
    6.2.1 原則1: 積極的に会話への参加を促す
            (マネージャーは知識創造の会話を行うという自覚を参加者のなかに作りださなければならない)
    6.2.2 原則2: 会話のエチケットを決める
            (不必要に曖昧な表現は避けること、相手を威嚇するような表現は避けること、中途半端に会話を終わりにしないこと、簡潔な表現を使うこと、内容を整理して話すこと、他のメンバーが自信をもって話せるようにサポートすること。故意に誤った発言をしないこと)
    6.2.3 原則3: 会話の内容を適切に編集する
    6.2.4 原則4: 革新的な言葉を奨励する
    6.2.5 前川製作所とGEはどのようにして会話をガイドしていくか
    6.2.6 会話を促進するマネジャー--知識創造の各段階に対応する

7. 第三のイネーブラー: ナレッジ・アクティビストの動員
  (わが社の従業員はよく私のオフィスに立ち寄り、わが社の将来について私に尋ねてきます。彼らは私の仕事に興味を抱いており、私は毎日社内のたくさんの支持者に囲まれていることを幸せに思います。 --ヘルムート・フォルクマン シーメンス、シニア・ディレクター)

 7.1 ナレッジ・アクティビストの3つの役割
    7.1.1 知識創造のカタリスト(触媒役)
    7.1.2 知識創造イニシアチブのコーディネーター(調整役)
        (ミクロコミュニティに基づく考え方、想像上のコミュニティ、協力マップの共有)
    7.1.3 未来予言者
 7.2 ナレッジ・アクティビストではないもの
 7.3 ナレッジ・アクティビストには誰が適任か
 7.4 ヘルムート・フォルクマン--アイデア・メーカー、未来予言者
    7.4.1 ナレッジ・アクティビストの教育
    7.4.2 フォルクマン博士の「バーチャル・チーム」と「サトリ」(悟り)
    7.4.3 ゼニア--知識都市
    7.4.4 イノベーターのアトリエ
 7.5 アクティビストの基本原則
    7.5.1 トップ・マネジャーのための基本原則
    7.5.2 ナレッジ・アクティビストのための基本原則
 7.6 ナレッジ・アクティビストのインパクト--夢見ることと実行すること

8. 第四のイネーブラー: 適切な知識の場作り
  (ちょっと妙に聞こえるかもしれませんが、私はわれわれの存在を顧客の心のなかに刻み込もうとしたのです・・・。われわれは顧客の意見に耳を傾け、さまざまな問題を考え、これから起きる変化はどのようなものかを共に予測しあうことによって、彼らが将来欲しているものをつかめるようになったのです。 --村上 俊 マエカワ・フード・プロセス・エンジニアリング社長)

 8.1 「場」の検証--知識創造活動の「場所」
 8.2 知識共有のための空間を作る--4種類の交流 (他者との交流開始、会話の実践、会話の記録、知識の内面化)
 8.3 適切なコンテクストに合った適切な組織構造を選択する
 8.4 ソニーの組織改革
    8.4.1 カンパニー制度--ソニーの権限移譲型事業部
    8.4.2 重複するイネーブリング・コンテクスト
    8.4.3 企業変革は続く--統合的な分散経営
 8.5 前川製作所の独立法人
    8.5.1 ビジョンおよび戦略に基づいた組織構造
    8.5.2 暗黙知を重視する
    8.5.3 知識共有が促進されるように従業員を動かす (独法同士をつなぐ、独法間で人材を異動させる)
 8.6 東芝のAD-Iグループ
    8.6.1 「プロジェクトI」から「AD-Iプロジェクト」へ
    8.6.2 組織構造とプロジェクトの成功との関連
 8.7 組織を柔軟に管理する--永遠のパラドックス

9. 第五のイネーブラー: ローカル・ナレッジのグローバル化
  (もし子供の口にアイスクリームを押し込んだとしたら、たとえおいしいものであったとしても子供は吐き出してしまうだろう。それは、無理に口に入れようとしているからだ。でも、さくらんぼを載せてテーブルに置けば、それで子供の関心をひきつけることができる。 --リーフ・エドヴィンソン スカンディア、バイス・プレジデント)
 9.1 時空間を超える知識--再びコントロールの問題に関して
 9.2 第1段階--きっかけを作る (掲示板、知識会議の定期的開催、ナレッジ・アクティビストの登用)
 9.3 第2段階--パッケージ化と移転 
    9.3.1 知識のパッケージ化にかかわるマネジャーは、どの知識をパッケージすべきなのか判断しなければならない
    9.3.2 知識の移転を担当するマネジャーは、移転の手順を決めなければならない
    9.3.3 マネジャーは移転されてきた知識の担当を、各ローカルの専門家もしくはスポークスマンに割り当てなければならない
    9.3.4 マネジャーは知識の「保存用ビン」に関して決定を下さなければならない
    9.3.5 マネジャーは「知識交換に関する方針」を作成する
 9.4 第3段階--再創造
 9.5 アドトランツ--社内外での知識交換
    9.5.1 プレイヤー
    9.5.2 技術移転契約
    9.5.3 きっかけ作り
    9.5.4 知識のパッケージ化と移転 (知識カテゴリーの定義、他の子会社にとっての知識の関連性、知識移転の形式、障壁の理解)
    9.5.5 ローカル・ナレッジの再創造 (実行とイノベーションの同時進行、知識のミクロ・コミュニティ、知識を重視した利害関係者のマネジメント)
 9.6 知識再創造の論拠作り

10. ナレッジ・イネーブリングの実践: ジェミニ・コンサルティングによる知識に対する障害の克服
  (知識は捉えどころがなく、人間をまるごと反映するという特徴をもっている。それゆえいったん知識創造に取り組みはじめると、そのすべての側面に対して真剣に取り組まざるをえなくなってしまう。戦争と同じで、軍隊に関する知識だけでは太刀打ちできない。つまり、組織全体を知識中心に設計し、管理しなければ、とても対処できない。 --ピエール・へスラー ジェミニ・コンサルティング会長)

 10.1 ジェミニのイネーブリング・コンテクスト--組織構造とコア・プロセス
 10.2 ジェミニのコンサルタントの知識創造の方法
 10.3 ジェミニ・コンサルティングが直面している戦略上のチャレンジ
 10.4 ジェミニにおける知識に対する障害--壁を取り壊す
    10.4.1 戦略上の障害を取り除く
    10.4.2 組織上の障害を取り除く
    10.4.3 ビジネス・プロセスの障害を取り除く
    10.4.4 インフラの障害を取り除く
    10.4.5 企業文化の障害を取り除く
    10.4.6 個人の障害を取り除く
 10.5 ナレッジ・イネーブリングへのステップ

11. エピローグ: ナレッジ・イネーブリングの旅
  (千里の行も足下より始まる。 --老子)
 10.1 企業の知識創造活動の軌跡モデル
 10.2 イネーブリング・ツール例 (知識の獲得および所在の確認、知識の移転および共有、ナレッジ・イネーブリング)



日本語版へのあとがき
文献目録
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